HOMEDiamond Story -代表あいさつにかえて- › トートーメー税理士と呼ばれて…
第3章

トートーメー税理士と呼ばれて…

 フットワークよろしく北へ南へ、お客様の元へ直接伺うことも日常茶飯事だ。何も会社だけでなく財産や相続に関することは個人宅にお邪魔することも多い。
 うるま市のMさんも、ウチの会社に電話をかけてきて下さり、相続の相談をされた個人の御客さまだ。2008年、年明けてすぐに、父親が亡くなり相続人となった母親とその子供たちの中で、ひとつ揉め事が発生したのだという。

 まずは母親とMさんにお会いするためご自宅へ伺った。最初は税理士が家までやってきたという事もあり、やや緊張気味だったが、私はいつも通り気軽に「お母さん、庭に続く畑、すごいですねぇ。僕は読谷出身なんですよ、田舎でも栽培してましたけど・・・云々」と話しかけていくと、お母さんも打ち解けてくれすんなりとお話をはじめてくれた。相談はいわゆる沖縄独特の「トートーメー問題」だった。

 祖先代々の財産を継ぐべき者は誰か?という問題になっていた。話をきけばMさんの亡くなった父親は、戸籍では長男であったが本来、乳呑み児の時に亡くなった男の子が二人いて、三男にあたるという。乳児の時に亡くなったので地域の風習で戸籍にのせていなかった
 しかし、父親がなくなった今、本来先祖からの財産を継ぐべき者は私ではないかと、兄弟の一人が主張してきたのであった。揉め始めたことで、ほとほと母親は困り、先祖の乳児でなくなった子達の供養はあれで良かったのか?と様々なことが不安になってきた。長男に嫁いできた者の宿命として家を繁栄させるよう、一生懸命働いてきたのに、父親がなくなってこんな騒動が始まるとは夢にも思っていなかったと、切なそうに話す姿に心が痛む。

 沖縄でこのような事例は少なくない。

 まして先の大戦で戸籍や財産に関する資料が焼失したことで、相続人不明や土地の所有者不明など問題を上げればきりがない。(著書参照…P122)

 相続問題に挑む私も、何とか力になってあげたいものだ。早速、沖縄市に住む祈祷師にお会いし、乳児の供養について指導してもらい、それをMさんの母親に報告した。
 そして相続人同士の話し合いも、集まった方たちが冷静に遺産分割協議ができるよう、私が立ち会ったり、時には個別に説明のためお会いしたりと、その手法に配慮した。その甲斐あって相続税申告まで何とか漕ぎつけた

 最初お会いした母親の切ない顔も晴れやかな表情になり、こちらもやっと安堵の気分に浸った。
 そこでお母さん
 「先生、トートーメー税理士というからもっと年寄りかと思っていたさぁ。若いねぇ~。」
 「ん!?喜んでいいのかな?」

Copyright © 2012 ダイヤモンド経営 All Rights Reserved.