あきらめない
人の一生と同じように、会社も設立してから歳月を重ねるにつれ色々な出来事があり成長していく。
私の関与先で南部にあるJ社も創業から40年を超え成長してきた会社である。業種柄、会社を設立した当初持ち寄った権利等を設立当初、会社では金銭的ゆとりがなかったので、長年買い取ることが出来なかった。
近年になって会社の財務状況にゆとりがでてきたので買い取った。ところが当局からの調査でこの扱いを否認された。守秘義務により詳細を記すことは出来ないが、否認されるという事は、それに対して課税される。
かなりの金額に上る諸々の税金を支払った。
役員を招集し何度も議論を重ねた後、一先ず税金を納め国税不服審判所に持ち込むことにした。
国税不服審判所に持ち込むことは初めてではないが、税理士として覚悟して挑むのでなければ立ち向かえない大きな壁だ。
国税不服審判所に出す書類作成に追われた。
まずは私が関与する以前、復帰前の話なので、過去の古い資料探しから始めた。並行して税務の判例や通達を片っ端から読み、国税不服審判所の意見陳述に備え書面を作成した。
事実はどうだったかという事実認定の為に当時設立に関わった8名の方々の元を、一人一人訪ね歩き詳細に聞き取りを行い陳述書を作成し提出した。
一方で会計原則に則って論理を組み立て検証し、会社法との関連などからも調べた。専門書を何冊も取り寄せた。これではないかという確証の論理性を求め、航空便で取り寄せた書籍に記されている説明を求めページをめくっていくと、たった3行だけということもあった。ことほどさように仕事というのは奥が深い。
目の前の壁を打破するために、道は険しくともあきらめないでコツコツと進んでいくと、道は開けるものだ。夜な夜なワープロに向い書面準備し、何度も当局とのやりとりや陳述を経てようやく審判がおりた。
「全面勝訴」
喜びに溢れたJ社社長の声に、電話の向こうの顔が目に浮かぶ。
「山内さん、ありがとう!ありがとう!助かった~」何度もおっしゃって下さる言葉のシャワーは税理士冥利に尽きる。この言葉でこれまでの苦労や道のりもすっかり忘れてしまう。
社員を集め報告すると一斉に拍手が沸き起こる。どの顔も誇らしげだ。私の後ろ姿は彼らにどう映っているだろうか。
その夜少しずつ溢れる実感と、心地良い安堵感が混じり合った気持ちを肴に美酒に酔いしれた。

















