琉球泡盛の海外進出
国際税務のポイント
沖縄地区関税のまとめによると、同税関区内から2008年1月~9月までに、輸出された泡盛の量は、1万1806リットル、金額にして1356万円(9ヶ月間)となっている。既に前年を上回る数値となった。しかし、泡盛の年間売上高が約220億円からすると、やっと泡盛の海外輸出が始まった段階である。
これから、本格的に泡盛酒造会社が大海原を越え、国境をまたいで (国際間で)海外進出・海外取引を行うとき、その取引は「国際取引」になる。このとき、そこで発生した利益に対して、日本で課税されるのか外国で課税されるのか。あるいは、両国で課税されてしまうのか・・・等々、いろいろな問題が発生ずる。
この税務的な諸問題をどんな方法で解決するのが「国際税務」である。
まず、国際間で行われる「国際取引」から生ずる利益について、その双方の国で課税されてしまうことを「二重課税」という。この二重課税を回避するには、リスクを避けるため、どうするかを考えるのが「国際税務」である。
日本の税制上「外国税額控除制度」という、二重課税を排除する制度がある。また、国家間の「課税権」をどう配分させるかという側面から「移転価格税制」「過少資本税制」などがある。このような各種税制の仕組みを理解し、二重課税のリスクをさけ、いかに節税に結びつけるかが、国際税務の大きなポイントになってくる。
内国法人と外国法人
日本で設立され、本店が日本にある法人を「内国法人」と呼ぶ。一方、内国法人でない法人を「外国法人」と呼ぶ。たとえば「米国の証券会社の日本支店」という場合は、その日本支店は外国法人になる。
「内国法人」と「外国法人」を区別する理由は、課税される範囲が異なるからである。「内国法人」であれば、日本の法人税は全世界の所得に対して課税される。たとえば、ロサンゼルス支店を通じた販売によって生じた所得も、日本の法人税の課税対象になってくる。この場合「ロサンゼルス支店」は、内国法人と同一の法人であるため、日本から見たら内国法人にあたる。そのため、日本でも課税され(さらに、米国でも課税される)ことになる。一方「外国法人」であれば、日本で生じた所得のみ、日本で課税される。この日本で生じた所得を「国内源泉所得」とよんでいる。
上の例で、支店ではなくロサンゼルスに子会社を設立した場合では、その子会社は日本の内国法人とは別法人である外国法人なので、子会社が獲得する利益は、日本の法人税の課税対象にはならない。
PEなければ課税なし
外国法人については、原則として「国内に事業活動の拠点 (例えば、国内にある支店、事務所、工場、あるいは代理人) がある場合にのみ、法人税を課する」
という大原則がある。この、国内の事業活動の拠点を、税法上「恒久的施設」と呼ばれている。英語でPermanent Establishmentこれを略して「PE」と呼んでいる。
日本の国内法において、外国法人の課税については「PEなければ課税なし」・・つまり、日本にPEがなければ、外国法人が得た国内源泉所得税のうち、一定のものを除いて(国内にある資産の運用等については課税)は日本で課税されないということになっている。しかし、PEについて租税条約 (50カ国以上) において異なる定めがある限りにおいては、国内法の規定にかかわらず、その条約の定めるところによる。
会社が海外で事業活動を行うにあたり、恒久的施設に該当しないような活動のみを行う拠点を駐在員事務所と呼んでいる。海外に支店を設けることは通常デメリットが大きいため、金融機関、航空会社等は一部の業種の企業を除いては、海外現地法人を設立して事業活動を行うことが多い。この場合、本体の会社は当該国に恒久的施設を持たないことになる。
海外取引の段階的説明
- 貿易取引
商品の輸出入の段階である。この段階において、外貨建取引の発生に係る税務処理に直面することとなる。泡盛の輸出は、この段階と思われる。商談のために出張する社員の現地での課税については、ほとんど意識することはない。 - 駐在員事務所の設置
駐在員事務所は、海外における情報収集拠点として利用されることが多く、現地での営業活動を行わない事業所の名称として使われている。海外の事業拠点に1年以上の期間を定めて赴任を命ぜられた社員は、日本の所得税法上非居住者として推定されることになる。その給与に関する限り日本では課税されない。従って、現地国の税法により所得税が課税される。 - 海外支店の設置
支店は、現地で顧客への営業活動を行う事業所の名称として使われている。現地国においてPEに該当する機能を有しているか否かが問題となる。進出先国の税法や租税条約が定めるPEの範囲をあらかじめリサーチしておく。 - 海外子会社の設立
進出国では現地国の法人税が課税されるが、日本の親会社との取引価格が課税所得に影響するため、移転価格税制の問題に直面する。


















